鳥取銀行

医療支援

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島根県出雲市
かなざわ内科 糖尿病・骨粗しょう症クリニック

金沢 一平

かなざわ内科は、糖尿病・骨粗しょう症の専門クリニックですが、この2つの診療科目に特化した理由を教えてください。

①専門診療が少ない

糖尿病は、全国で患者が2,000万人にのぼるなど患者数が多く、糖尿病の疑いがある人も含めると、5〜6人に1人が糖の異常を持っていると言われています。また、骨粗しょう症は全国で1,300万人、高齢女性の2人に1人が発症するといわれ、これも患者さんが多い病気です。
一方で、ここ出雲市では専門クリニックの数は少なく、患者さんが専門的な診療を受けたいと思ってもどこに相談したらいいか分からないという現状があります。そのため、当院では、『糖尿病・骨粗しょう症クリニック』と看板に出すことによって、専門的な治療が受けたい患者さんが見つけやすいようにしています。 昔は治療薬も限られており、どこの病院でもだいたい同じようなレベルの治療が受けられましたが、現在は、毎年のように新しい治療薬が発売されて薬の種類も多く、治療の方針などの考え方もさまざまになっています。そのため、専門ではない先生が、日々更新される情報についていくのは非常に大変です。 患者さんの中にも、近さや便利さで医院を選ぶのではなく、医者とのコミュニケーションを通じた専門的な医療を受けたいというニーズがあります。
もちろん、通院するうえで一定の利便性を確保しておくことは重要ですが、専門的な医療を求める患者さんに来てもらえるような医院を目指しました。

②早い段階で病気の治療にあたることが地域の開業医としての役割

糖尿病は「万病のもと」と言われ、腎臓や心臓、脳など他の臓器の病気につながりやすいです。骨粗しょう症も、骨が弱くなるため、骨折や怪我につながる病気です。 どちらも、大抵の場合、患者さんは大きな病気が分かってから大病院にかかりますが、糖尿病・骨粗しょう症は生活習慣に関連する病気なので、小さい病気のうちにきっちりと管理していくことが重要です。

開業にあたり不安だったこと、銀行に相談したきっかけは何ですか?

不安だったことは……何も分からなかったので、全てが不安でしたよ。
内科外来医長をしていたので、診療報酬については多少理解していましたが、病院経営とはまったく違うので、結構大変でした。
勤務医のときは、組織の一員として行動していますし、専門職なので、”薬がどこからどういう風に届くか”ということや、”この治療にどの程度のコストがかかるか”といったことは意識しませんが、開業医として全体を見るようになると、そうした社会の仕組み、モノとカネの流れを理解していなければいけないので、それこそ一般常識から学び直しました。(笑)

開業の相談は、既に開業していた友人に話を聞いて、先輩が歩んだのと同じ道を辿った形です。開業にあたり、まずはコンサルを入れて、医院を開く場所を探し…「こんな医院にしたい」というビジョンを言語化したら、資金調達のことを考えました。
鳥取銀行出雲支店は、相談した先生に紹介してもらいました。いつも親切に対応いただきましたよ。 開業に必要となる大きな額のお金を借りるということは、先生にとってハードルが高いですよね。勤務医時代は、病院経営をするような大きな額のお金を動かすことがないので、銀行に返済計画等のサポートをしてもらえることは、助かりますね。

これからの展開を教えてください

当院は、糖尿病・骨粗しょう症クリニックとしては、出雲市内No.1の医院だと自負していますが、今後は全国でも名前が出るようなクリニックに成長したいと思います。そのためには、一人ひとりの患者さんをしっかり診ることはもちろん、YouTubeなどインターネットを活用した情報発信や、医療機関同士のネットワークづくりも重要になってきます。

また、残念ながら私は出雲にしかいないので、他のエリアでも同じくらい質の高い医療が提供できるよう、サテライト診療ができる場所をつくったり、同じ分野の先生を支援して専門的な診療ができるように支援していきたいです。

私は予防医学が最強の医学だと思っていて、最終的には患者さんがクリニックに来なくてもいいような環境をつくりたい……言ってみれば、医学情報をもとにした”まちづくり”を行いたいです。 予防医学といえば、「食」と「運動」ですから、行くと病気のことを知ることができる食堂や、医学的根拠にもとづく運動を教えてもらえるメディカルフィットネス、情報が集まる喫茶店など、自然と行きたくなるような場所を作って、その施設を利用する人が健康に生活できるような仕組みを作りたいですね。まずは、この出雲市という地域から始めて、モデルケースとして他地域にも展開していければ、健康で長生きできる人が増えると思います。

最後に、開業を考えている先生たちにアドバイスをお願いします

今は、新型コロナもあって、先生たちは大変な状況で、業界全体に暗い雰囲気が漂っています。でも、そんなときだからこそ、自分のやりたいことを目指して外に出ることが必要だと思います。
勤務医として大きな組織に所属していると、そもそも開業に関する情報が入ってこなくて悩むと思いますが、開業を考えているという先生には、先達に直接話を聞くなどして、情報を得ていってほしいですね。 私は、開業はチャンスだと思っています。
今は、一度就職した後に転職するということは、一般企業では普通にありますが、医者の世界、特に地方のドクターはそういった環境にはないです。
でも、今はドクターも思い切って行動する時代です。医者という職業は、自分のやりたいことをしながら、他者にも貢献できます。開業医は、自分の努力が全て自分に返ってくる。頑張れば頑張るほど、自分も楽しく、他者も喜んでくれる、やりがいある仕事だと思います。

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